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2011年10月07日

サバニ帆漕レース、その6(最終回)

いよいよ、大会当日。
朝4時半ごろ起床。

まだセミも鳴きださない夜明けの
真っ暗な中、テントを撤収する。

前日にある程度
片付けをしておくべきだったなと、
後悔してしまう。そしたらまだテントの
中でのんびり眠っていられたのに。


伴走船に乗せる那覇で必要な荷物と
キャンプ道具を分ける。

東の空がだんだん明るくなってきた。
昨日の夜にパーラーに注文していたおにぎりを
頬張る。

朝6時、古座間味ビーチまでの送迎バスが来た。
約10分くらいで古座間味ビーチへ到着。

海は穏やかで、朝日を反射してキラキラ光っている。
波もなく、べた凪という言葉はこの日のためにあるのか
と思うほどに静かだ。
ということは、本当に那覇まで漕ぎメインに
なりそうだ。風の力を借りてビールを飲みながら
那覇までという夢は叶わないものと
なってしまった。

まっ、しょうがない。
苦労した分だけ
いい旅の思い出ができるだろう。

さて、大会スタートの号砲まで
まだ時間があるので、
舟の最終確認、スタートの練習をする。

次第に人が集まってきて大会らしくなってきたと同時に
気持ちも高ぶってきた。

しかし、本当に那覇まで漕げるだろうかという不安も
隠せない(メンバーが不安というわけではないよ)。

ビーチクリーンも終わり、
スタート15分前と放送される。

スタート10分前、

スタート5分前、

なんだか、ノドが渇いてきたり、
お腹が空いてきたり、
トイレにまで行きたくなってきた。

スタート1分前、

バナナを頬張り、空腹を満たす。

カウントダウン、
5,4,3,2,1

スタート!


全チームが叫びながらスタートする。
こちらも負けてはいられないと
雄叫びをあげる。
練習のときはあんなに余裕があったのに
今は緊張で鼓動がほかの人にも
聞こえるのではないかという感じだ。
余裕は全くない。
サバニ帆漕レース、その6(最終回)
前にいるサバニを追い越そうと意気込むのと同時に
後ろから迫ってくるサバニに追い越されないよう
無我夢中で漕ぎ進む。

風はほとんど無風状態。
なんで練習のときはあんなに吹いていたのに
本当に必要なときは吹いてくれないんだよー!


スタートして15分も経っていないのに
先頭チームのサバニははるか彼方に
米粒となっている。
今見えている米粒が
先頭チームかどうかはわからないけど。

「あぁ、あれは最初からあの米粒の大きさだったのだよ」
と後ろのやさしいおじさんが教えてくれた。
なるほど。

渡嘉敷島の北にある無人島のギシップ島を右手にみながら
ひたすら漕いでいく。

前にはうっすらと島がみえてきた。
なんだ、もう那覇がみえてきたのか。
座間味から那覇までといっても
大したことないな、と
思っていたら、渡嘉敷島の東側にある
前島という無人島だったのだ。

確かフェリーで通ったときは、
前島と渡嘉敷島はそんなに離れていなかった
はずだぞ。漕いでも漕いでも
島は近づいてこないじゃないか。
本当に進んでいるのだろうかと
心配になってきた。

帆はほんのわずかの風をつかまえいるようで
ぐでーんとだらしなくはなっていない。
そんな帆をみてなぜか元気になってくるのだった。

伴走船では、控えのメンバーが乗っており、
声援をおくっている。

一時間漕いでメンバーチェンジをする。
私はなぜか交換はなくずっと漕いでいる。

心配していた、前島が近づいてきて、
気がついたら後ろの方にたたずんでいる。

ようやく那覇が見えてくるぞー!と
目を凝らすが、那覇はどこにも見当たらない。
知らないうちに本島を通り過ぎてしまったか?

なわけないか。

どうやら暑さで頭がイカれたらしい。

でも那覇は肉眼では確認できない。

と、漕ぎ出して数百年やっと休憩をとることが許された。
伴走船に乗ってバナナを食べる。
一応、おにぎりはあるのだが、ノドを通らない。

今漕いでいるのは、
むさくるしい男(怒られるかも)ばかりで
「それでも男か―!」と激を飛ばす。

大海原に浮かんでいるサバニは
どう表現したらいいのか分からない
ほどに、ただただ美しい。
サバニ帆漕レース、その6(最終回)
大昔の人は舟と風を操り、潮を読み、
星座を地図に漕ぎ進んでいたのだなと
感心してしまう。
道具が多くなり便利により豊かにはなったが、
それと並行して知恵と温かさを過去へ置いてきた現代。
本当にそれが幸せなのだろうか。

サバニを見ながらそういう思いが
心を一杯にする。





どうやらサバニの神様はいるらしく、
なんと、奇跡的に風が出てきた。
スピードがぐんぐん上がる。
と同時に、波も高くなってきた。
時折、波でメンバーが隠れてしまう。


伴走船に乗りながら、
左手にチービシを見ながら進んでいく。
チービシってこんなに長いんだなと
思いながら。

那覇もようやく見えてきた。
この数日、砂浜のビーチで過ごしてきたせいか、
コンクリートの建物が異様に見える。


すこし、波がおさまったところで
メンバーチェンジ。

ゴールまでひたすら漕ぎ進む。

だんだん、ゴールの目印となる
船が見えてきた。

あと、50m、30m、10m。


「ぷぉー」とゴールの合図。

やったぁー。生きて帰れた。
おっとと、ここで油断してはいけない。

目の前のテトラポットに激突してしまったら
今までの苦労が台無しだ。
旨いビールも飲めなくなってしまう。


と、最後まで気を抜かずに
安全なところまで漕ぎ進む。

そして、メンバーみんなと
ビールのかけあい、ならぬ海水のかけあい。
「やめろー、那覇の海は汚いぞー」
と言うのだが、誰もそんなことを聞く
訳がない。ただただ嬉しくて
はしゃぐ平均年齢45歳の精神年齢は12歳以下の
メンバーだったのだ。

こうして、今年のサバニ帆漕レースは幕を閉じた。


楽しかったと言えばそれは
ウソにはならないが、
もっと言葉では言い表せない深いものを
感じたサバニレースでもあった。


このサバニレースでは、
いろいろな人にお世話になった。

学生のころから憧れていたサバニレース。
なんとか理由をつけて参加しようと
思い続けて約6年。

ようやく夢がかなったと思ったら
もっと、かなえなくてはならない夢ができてしまった。


また、その夢に向かって、というか、
また、新たな夢を探しにこれからも
いろんなことに顔や足を突っ込んで
いこう。

そして、今回一緒にサバニを
漕いでくれたメンバーに本当に
感謝したい。ありがとう。

おわり

スタッフ:たまえ


サバニ帆漕レース、その1
サバニ帆漕レース、その2
サバニ帆漕レース、その3
サバニ帆漕レース、その4
サバニ帆漕レース、その5
はこちらからどうぞ。




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