サバニ帆漕レース、その5

neosアウトドア

2011年10月06日 12:34

レース前日、阿真ビーチとなりの小さな漁港から
スタート地点となる古座間味ビーチへと
快調に漕ぎ進む。

サバニの斜め走行事件以来、
ぞうり、防水バック、カメラなどの個人荷物を
ひっくりかえっても大丈夫なように、
サバニにしっかり固定している。

ひっくりかえりそうになったとき
荷物の事を考えていた私は、
財布がなくなったら、いろいろ大変だなぁ。
免許証の再発行もめんどくさいし…。
Tポイントは再発行でポイントの移行は
できるのだろうか
などと考えていたのだ。あの一瞬のうちに。

人はそういうことが起こると
スローモーションにみえると聞いたことが
あるが、まさにその通りだった。


あの出来事も今では良い思い出だなぁなどと
思いにふけっていたら、古座間味へ到着していた。


浜にはどのサバニもまだ来ておらず、一番乗りだった。
明日の本番も一番乗りで那覇に着きたいなぁ
などと思いながら、浜辺を歩く。



明日の本番は風が弱くなり、漕ぎメインになるだろうと
予測し、大きい帆に変えて乗ってみたり、漕ぎ手のメンバーを
交換したりなど試行錯誤を繰り返し、午前中が過ぎていった。


午後。

他の舟が集まりだした。
座間味にこんなにサバニがあったのかというほどにどんどん集まってくる。
しかし、6月の大会からの延期なので、
これでも参加チームが半分くらい減った、のだそうだ。
この2倍近い数の舟が古座間味ビーチへ並ぶ姿が
うまく想像できない。


午後はサバニの船検があるので、それまでの時間を練習に当てる。

今まで、漕ぐ練習しかしてこなかったが、スタートも大事だということがわかった。両隣にいるチームのサバニからは三メートルほどしか離れていない。28艇のサバニが一気に我先にと漕ぎ出していくのだ。一歩間違えれば隣のサバニと接触して舟が壊れることもあるだろう。
スタートもサバニから陸向きに何メートルか離れたところから突っ走り、サバニが浮かぶまで素早く海に押し出し、そのスピードに乗り遅れないよう素早く乗り込み、これまた素早くエークつかみ、素早く漕ぎ出すのだ。しかも隣のサバニにぶつからないように注意しながら。

まっ、そんなに急いでも仕方がないので、両隣のサバニが出たあとに安全にのんびりと出発しようということになった。おっ、もう出発の時間ですか。という具合に。

午後の練習も終わり、あとは本番で今までの力を出すのみだ。


座間味へ来て数日間、一滴の雨にも降られてない。南の島ならではのスコールの“ス”すら見当たらないのだ。毎日肌に突き刺さるような日差しの中を漕いでいると、普段飲むビールのうまさの何十倍もの美味しさを感じることができる。このサバニレースでビール以外にも普段の何十倍、いや、何百倍も美味しいと感じたのが、ガリガリ君だ。
毎日平均で3、4本は食べただろうか。なんせ暑いのだ。頬張ると中のシャリシャリとソーダの味が口の中に広がり、飲み込んだときのあの冷たい塊が喉を通りそのまま下へとおりていき胃の中に入っていく。しかし、ゆっくり冷たさを楽しみつつ味わいながら食べたいとこだが、素早く食べないと太陽の餌食にされ、あれよあれよと溶けてなくなってしまうのだ。太陽との暑い戦いに勝つべくガリガリ君の早食いをマスターした座間味キャンプなのだった。



そんなこんなで大会前夜。ご飯を食べながら本番へ向けてのミーティングを行う。

さすがに明日の本番ということもあってか、
みんな、真剣そのものだ。


「別のチームのサバニに穴をあけよう」

「いやいや、サバニをロープで全部結んで
出発できないようにするのはどうだ?バレないように
ロープは砂に埋めておいて」

「舟の中にハブを放り込んでおこう。」

「強豪チームのスキッパーを拉致して
どこかに隠してしまおう」

「うちのサバニと伴走船にぶっといゴムをつけておいて、
ゴムをこれでもかというほど伸びるまで引っ張って、
一気に放して、スピードダッシュしよう!」


真剣なミーティングは夜遅くまで
開かれたのだった。


つづく


スタッフ:タマエ


サバニ帆漕レース、その1
サバニ帆漕レース、その2
サバニ帆漕レース、その3
サバニ帆漕レース、その4

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